1977年8月に設立された福山市民病院。「救急医療」、「がん医療」を診療の柱に、現在、506床、28診療科の「地域完結型医療」の急性期医療を担当する病院へと成長を。「医療連携」を推進し、「安全で質の高い医療」の実践に努めている同院で、HMネットがどのように機能しているのか語っていただきました。
高倉先生:当院は、広島県災害拠点病院、地域がん診療連携拠点病院、地域医療支援病院等に指定されています。HMカード(開示カード)を作成するメリットは、CTの画像データなどリアルタイムで情報を開示できること。かかりつけ医を受診される患者さまは、検査の重複を防ぐことができ、肉体的にも、経済的にも負担を軽減できることが挙げられます。さらにいっそう望むとすれば、当院のみが情報を開示するのではなく、開業医と双方向で情報を共有できるようになればいいなと感じています。
私は、「1人1カルテ」、つまり生まれてからどこの病院にかかっても一つのカルテに疾病履歴が集約されることが理想と考えています。今後HMネットが進化して、その理想に近づいてくれることを願っています。
植田副室長:当院では現在、開放病床の登録医療機関数が139施設となっており、そのうち1/4にあたる48施設でHMネットにご参加いただいています。情報開示カードの発行は年間で約1,400枚。参加施設の紹介患者さまの多くがカードを作られています。いつも患者さまには「当院の“専門医”と“かかりつけ医”の二人の主治医を持ちましょう」とお話ししているので、情報を共有できるHMネットはとても役に立っていると実感しています。ご利用いただいている患者さまからも、検査結果など、当院の専門医だけでなく、話しやすいかかりつけ医から「もう一度説明を受けられるので安心だ」という声をよく聞いているんですよ。
藤本次長:HMネットに参加されている開業医の先生からは「開示された情報を見ながら患者さまとコミュニケーションがとれ、診断・治療の役に立っている」とご意見もいただいております。当院の医師からは「もう少し画像を見やすく、操作性もアップするといいよね」というリクエストも。操作性が良くなれば、より使いやすくなると期待しています。
HMカードは薬の重複投与も防げますし、患者さまにもメリットがたくさんあります。当院では専任の担当者も配置していただいているので、職員で協力して一人でも多くの患者さまへ周知を図っていきたいですね。
「地域完結型医療」の推進に、HMネットは有用です。地域の医院との連携を強固に、良質な医療の提供に努めてまいります。